2021.12.23(木)

地方だからできる新たな挑戦 大原 圭太郎さん

    

何か新しいことをはじめている人、何かを発信している人。そういった人の多くは、何かしら自分なりの「哲学」を持っているように思えます。「自分が大切にしたい哲学」を考え、見つけることは新しいことを始めるときの手がかりになるのではないでしょうか。「いわてつがく」は、そんな思いのもと、さまざまなフィールドで活躍する人たちの「哲学」を紐解いていく連載です。

大原 圭太郎(Keitaro Ohhara)

一般社団法人fumoto代表

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プロフィール:宮城県仙台市出身。服飾の専門学校を卒業後、仙台や埼玉、東京などでアパレル業に携わる。2016年に洋野町の地域おこし協力隊への着任を機に岩手に移住。地域おこし協力隊の観光担当として活動する中で、行政以外で地域おこし協力隊の受け入れを行うNCLに興味を持ち、2019年に一般社団法人fumotoを設立。現在は洋野町の関係人口創出やディレクションに携わる。

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ー洋野町に来る前の大原さんは?

昔から洋服が好きで、東日本大震災が起きたときは、仙台のアパレル小売店で忙しく働いていました。津波で気仙沼の祖父の家が流されたことから、自分がやりたいことはその時にやった方がいいと思いました。そこで、服作りに本格的に打ち込むため埼玉県に引っ越し、東京でアパレルの展示販売イベントに参加しながら生活していました。

ー岩手に移住しようと思ったきっかけは?

ファッション業界に身を置きながら仕事を続けていましたが、地域を面白くすることが自分が本来やりたいことだと気づき、実際に地方に行き、仕事として携わった方が面白いと思いました。都内での生活のなかで、自分のやりたいこと・やるべきことは何かを見つめ直し、人の役に立つ仕事をしたいと思ったことから、地方の仕事に興味を持ちました。また、このまま埼玉を拠点に活動しても先が見えている気がして、自分の将来を変えたいと思いました。

ちょうどその頃洋野町で地域おこし協力隊の募集がありました。洋野町には妻の実家があること等から、以前から何度か足を運ぶ機会がありました。同じ三陸地域ということで気仙沼の祖父宅に似た懐かしい風景もあり、何かと縁を感じていました。そして、悩んだ末に応募し、2016年10月から洋野町の地域おこし協力隊員となり、移住しました。

協力隊時代に行ったトライアルツアーの様子

ーfumotoを設立した経緯について教えてください。

洋野町の地域おこし協力隊では観光担当として活動していましたが、行政の活動には難しさがありました。また、協力隊の任期は3年ですが、任期終了後、観光で生計を立てていくのは難しいと感じ、チームで実際に観光業に携わったり、観光業に携わりたいと考える人を増やすような活動をしたいと考えるようになりました。調べていく中で、地域おこし協力隊を民間で受け入れているNCL(Next Commons Lab)の存在を知り、NCLなど、民間で地域おこし協力隊の受け入れをしている団体5か所ほど、見学に行きました。そこで、法人の運営の仕組みや予算確保のノウハウなどを学んだり、自分でも調べたりしました。知見が増えたところで、洋野町に事業を提案し、2度目のプレゼンで受け入れていただきました。

2019年9月一般社団法人fumotoを設立し、現在は洋野町の地域おこし協力隊の募集と協力隊の活動支援を行っています。そのほか、洋野町の関係人口を構築する事業としてローカルメディアの運営や、案内所として移住相談を受けています。また、県の地域おこし協力隊事業にも携わっています。

fumoto事務所を仲間とともにDIYする様子

ー地域おこし協力隊の活動時と今を比較して変化したことは?

それまで仙台や埼玉など都会で生活してきた自分が洋野町という小さな町に来たことで、価値観が変わり、身近な社会が見えやすくなりました。野菜を作っている人、漁をしている人など、一次産業に携わっている人が身近にいて、その人たちによって自分の生活が支えられていることを実感しました。地域おこし協力隊として活動したことで、行政の地域における役割が理解できましたし、行政の手が届かない部分も多いことがわかりました。また、都会にいるとつい表面的なステータスなどに注目してしまいがちですが、そうではなく自分の在り方が大事だということにも気づきました。

ー仕事をする上で大切にしていることは?

仕事をやりにくい相手とは、誰でも一緒に仕事をしたくないと思います。相手の考えや気持ちをしっかり理解することを心がけ、相手にとってやりにくい相手にならないように気を付けています。表面的なことではなく、相手の本心をしっかり深堀して聞くことを意識し、仕事をしています。

移住関連のオンラインイベントを開催している様子

ーこれからチャレンジすることを教えてください。

地域おこし協力隊の募集や活動のサポートを充実させていくことは勿論ですが、地方創生に繋がる洋野町の関係人口を増やしていきたいです。その一環として、洋野町の魅力が詰まった「ひろのの栞」というウェブメディアを立ち上げたので、情報発信していきたいと思います。そして、来年度には洋野町の歴史を紹介する展示会もできたらと思います。

ー最後に何か新しいことへ挑戦しようとしている岩手の若者へメッセージをお願いします。

まずは行動してみることが大事だと思います。世の中にはやってみないとわからないことばかりです。

私が初めてNCLを知った時のように、世の中にはまだまだ知らないビジネスモデルがたくさんあります。興味があれば調べて、直接話を聞きに行くことが大事だと思います。自分がやりたいことをビジネス化する上で悩むこともあると思いますが、同じことを考えて実践している人はいるので、それを手本にすることで道は開けます。まずは、一歩踏み出す勇気とチャレンジが大事です。

朝方に見た種市漁港

 

ひろのの栞 https://hirono-shiori.jp/

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