いわて若者会議2018 いわて若者会議 若者が地域の課題解決を目指して自…
2016.11.30(水)
いわてで活躍するいわての若者や団体を紹介する「いわてびと」めっけ!
※「めっける!めっけだ!」は、岩手県など東北地方の方言で「見つけた!」「発見!」という意味。
番外編では、いつものコネックさんではなく、岩手県庁の若手職員が若者を取材します!
その6では、有限会社藤建ハウスの中野夕希さんをめっけ!
中野夕希(なかの ゆき)さんは、紫波町のエコタウン「オガールタウン」で、エコハウスの建築を手がけています。また、仕事と子育てを両立しながら、地元のお祭りやイベントにも積極的に参加するなど、地域の中でもとてもエネルギッシュに活動しています。そこには、まちづくりに自ら関わるだけでなく、家づくりという仕事を通じて、お客さまとのコミュニケーションを重ねながら、魅力的なまちを実現しようと奮闘する中野さんの姿があります。中野さんの家づくり、そして地域にかける思いを伺いました。
1.エコハウスに魅せられて
-中野さんは、オガールタウンに紫波型エコハウスを建築できる藤建ハウスにお勤めですが、 藤建ハウスのエコハウスは、最先端の省エネ性能を持っていると聞きました。
オガールタウンでは、基準をクリアして紫波町から指定された地場の業者しか住宅を建てられないんですけど、大手住宅メーカーと競えるエコハウスがこの街並みに並んでいるんです。紫波町の地場の工務店でも、これだけの性能の家を建てられるんだよ、というのをどんどん謳っていきたいなと思います。良い物を知ってしまうと、「もうこれからはこういう家しか建てたくない!」っていう気持ちですし、さらに上を行きたくなっているんです。
建築条件の基準が高くて、指定を受けるのは厳しいかなと思い、検討していた時期もあったんです。でも、オガールタウンでエコハウスを建てるようになってから、家づくりの方向性が変わりましたね。それまでは、デザイン性にこだわっていたんですけど、今は、省エネ性能重視で、そこにいかにデザイン性をプラスできるか、と考えています。
2.デザインとエコの両立
【建設中のエコハウスを案内していただきました】
-性能重視ということですが、やはりデザインや間取りにもこだわりを感じます。
ありきたりな間取りをつくりたくないタイプなんですよ。そのお客さまオンリーの、何かひと工夫加えたデザインをしたくて。LDKもただ単純な長方形じゃなくて、そのなかでも、手を加えていくことを心掛けていますね。だから、オガールタウンの中でも、一つとして同じ間取りがないんです。
私はもともと違う仕事をしていたんですが、父が楽になればと藤建ハウスに入って、最初に手掛けたのは住宅模型だったんです。お客様にその模型をプレゼントしているうちに「あの会社、変わったことやってる!」という感じになって。模型作りから入った、というのが、デザインにも影響を与えていると思います。
-お客さまの暮らしに合わせて、間取りを考えるんですね。
そうですね。ヒアリングだけして、こちらが間取りを考えてご提案する場合もありますし、お客さまの方からラフ書きで、パズルみたいにこういう配置がいいんですって言われるときもあります。でもそういう場合、例えば階段が収まらないことがあるんですよ。階段を上がると、すぐ天井にぶつかるとか。皆さん、やっぱり一部屋ごとのイメージを描いてこられるので、そこをどう収めていくかはいつも苦戦します。
藤建ハウスでは、家のデザインには基準の「ベースプラン」っていうのがないんです。最初に3つか4つくらいプランを作るんですけど、土台があってちょっと変える、ではなく、お客さまごとに全部作るんですよ。間取りって、決まるまでは、四苦八苦しますけど、決まった時は楽しいですよ。
間取りは本当に、毎回悩みますけど、省エネ性能だけ考えるなら、極端な話、真四角の家が一番効率良いんです。ただ、それだとお客さまに楽しんでいただけないので、こうすると数値をクリアできるとか、こういうことをするとちょっと数値が悪くなりそうだとか、そういうことを頭に入れて、自由で楽しい間取りを考えています。
3. 人と人がつながるまち
【オガールタウンの景観について語る中野さん】
-お話を伺っていると、お客さまとじっくり向き合うことを大切にされていると感じます。
お客さまは、新しいまちの住民となる方です。私達のまちに希望を持って引っ越してきていただき、楽しい生活を送っていただきたいなと思うんです。ですから、私は家づくりを通じてお客さまの希望をどんどん叶えて差し上げたいので、 お客さまと接する時は、営業兼プランナーみたいな感じですよね。プランニングして、トータルでやっているので、ご希望にすぐその場で答えられます。まず営業の者に聞いてからとか、現場班に聞いてからとか、そういうやりとりがないんですよ。そういうワンクッションがほとんどないっていうのも私たちの強みかなと思います。
だから、お客さまと仲良くなりますね。社長もちっちゃいお子さんたちに気に入られていて、この辺りの現場を歩いていると、窓から「しゃちょー!!」って呼ばれるんです。私がお客さまを連れて歩いているときに、目の前で手を振られているのを見てもらえると、「良い社長なんだな」って思ってもらえる。だからいっぱい社長って呼んでねって言ってます(笑)。
-本当にアットホームで、地域の一体感がありますね。オガールタウンは、まちの人達みんなで作っているというのが伝わってきます。
そこは紫波町役場の人ががんばってくださっています。役所の人って、お堅い感じがして、話しづらそうなイメージがあったんですが、すごく話しやすい雰囲気なんですよ。疑問、質問、要望を出しやすい空気を作ってくれています。だから、オガールタウンを完成させようという思いと、やっていかなきゃという思いと、そうするためにはどう進んでいったらいいかという目指すものが、まちの人たちみんな一緒になっているんだと思います。
-オガールタウンを知らない人に、魅力を伝えるなら?
夜の雰囲気が良いですよ。オガールタウンは門灯が必ず設置されます。何時から何時につけましょうと、必ずタイマーを取付けることになっています。1棟しか建っていないときは、ランプが点いても寂しかったんですけど、棟数が並ぶ現在は、すごくきれいですね。オガール広場周辺は、特に絵になりますよ。クリスマスなんか、奥さんや彼女を連れて、歩きにきた方がいいですよ(笑)。
4.中野さんの目指すもの
【現場では、脚立や足場の上で取材しました】
-今後はどういう展開を考えていますか。
新築は当たり前で、棟数を増やしていって、あとはリフォーム、リノベーションにどこまで手をかけていけるか、ですね。小さい工務店だからこそ、そういうところまで手広くできるようにしないといけないので、体制を整えていきたいです。ただ、来年の秋前くらいまでは受注が入っていて、今はすごく忙しいです。下請けではなく、自分たちの手で作っているから、受注できる数が限られてしまう。そこも課題ですね。
オガールタウンが発展することで、街に昔からいらっしゃる商店街の方たちや、お家が古くなった方が、こちらの雰囲気が良いなと感じてくださって、お家を建て替えたいとか、お店を新しくしたいと考えてくだされば街にもっと活気が出てくると思うんです。今は、どうしても若い方たちが出て行ってしまっているので、戻ってきていただいて、一緒に街を創り直していくような、まさにリノベーションもがんばって行きたい。地域あってであって、ここだけではだめ。地域全体が良くなっていくことが最終的な目標だと思います。
紫波町のいろんな工務店が力をつけてきているので、これから4、5年後にどうなっているか楽しみです。多分、「エコハウスを建てたいんです」とのご要望に、どの工務店も対応できるようになっているのではないでしょうか。それが当たり前になっていくといいなって思いますよね。
オガールタウンのエコハウス作りには、地場の工務店としての意地があった、とも語った中野さん。取材を通して、プロフェッショナルとしての誇りと、地元への強い思いを感じました。
有限会社藤建ハウスHP http://www.harmony-housegarden.com/campany.html
オガールタウンHP http://town.ogal.jp/