2024.8.7(水)

いわて若者カフェ 連携拠点紹介記事「コワーキングスペース ヤドカリ」

    

【拠点情報】

運営:一般社団法人トナリノ(陸前高田市高田町字大隅93-1)

営業時間:平日9:00〜18:00

 

◎ 道路沿いに建つカラフルなたまごのオブジェが目印、旧仮設商店街「たまご村」。その敷地内にあるのが、「コワーキングスペースヤドカリ」です。周囲には多様な施設が並び、活気に溢れています。たまご村の駐車場で車を降りると、爽やかな潮風の匂い。建物にペイントされた植物の鮮やかさとマッチして、自然豊かな陸前高田を感じさせます。

 

 

【お話を聞いたのは】

一般社団法人トナリノ 山本 健太 さん

福岡県出身。東日本大震災の際、災害ボランティアを陸前高田市で行ったのち、2012年に本格的に移住。地元NPOに参加し、仮設商店街の運営に関わるほか、市民活動の中間支援を担当されました。2017年より、一般社団法人トナリノにて陸前高田市での学びや経験の支援を行っています。

 

 

 

【ヤドカリができるまで】

ー 拠点が作られた経緯について、教えてください。

山本さん(以下、山本) 私は福岡県出身なのですが、東日本大震災発生後、災害ボランティアとして陸前高田市にやってきました。「SAVE TAKATA」という緊急支援団体にて活動を行っていましたが、2020年6月に商号を「トナリノ」へ変更し、活動地域を陸前高田市から周辺の4市2町に拡大しました。さらにその2ヶ月後に、コワーキングスペースとして「ヤドカリ」を旧仮設商店街であるたまご村内にオープンさせました。地域で何か始めたい、頑張りたい、という方の一歩を応援するコワーキングスペースを目指しています。

 

ー こちらのコワーキングスペースは、トナリノさんの本拠地でもあるんですよね。

 

山本) そうですね。トナリノは「地域の相棒」をスローガンに掲げています。地域のみなさんと活動を共有し、「地域の相棒」としての役割をさらに強化していきたい。専門家集団として、スタッフのひとりひとりがプロ意識を持ち、真に地域から必要とされる存在になりたいと考えています。

 

▼たまご村中央にある、ヤドカリ入り口のフラッグ。

▼商店街に入るとすぐ目に入るたまごのオブジェ。

【ヤドカリってどんなところ?】

ー こちらはどんな方が利用しているのですか。

山本) 陸前高田市内の方はもちろん、市外の方にもご利用いただいています。リモートワークで利用される方が多いですね。また、登記登録も可能なので、市内で起業された方が個人で店舗を持つ前の拠点として利用されることもあります。

 

ー 広々としたスペースで、作業に集中できそうですね。

山本) 多い時で30名ほど、利用されることがあります。

 

ー すごい!多いですね!

山本) 出張者や個人事業主、企業の方など、多種多様な方がいらっしゃいます。日帰り利用が無料ということもあり、市民の方の事務作業にも利用いただいていますね。普段は平日のみ開放しているのですが、事前予約があれば土日の対応もできます。

 

ー なるほど、幅広い年代の方が利用しやすい環境なんですね。

山本) 1階は一般的なコワーキングスペースの他に、カフェスペース、キッズスペースを設けています。コワーキングスペースはパソコンを持参したワーカーさんの作業場になっていますが、カフェスペースはカジュアルに利用できる場となっています。また、キッズスペースはお子さんを遊ばせながら作業ができますので、子連れの方に活用いただいていますね。また、入り口からカフェスペースはフラットな設計になっていて、車椅子の方も移動しやすい作りになっています。専用のトイレも完備しています。

 

ー キッズスペースについて詳しくお聞きしたいです。

山本) 元々トナリノで、子育て世代の女性へ働く機会の提供を事業として行っていた経緯があり、子どもを遊ばせながらでも仕事ができる環境を陸前高田市で作りたいと考え、設置することにしました。保育士の見守りなどを活用し、事務作業やイベントを行ってもらっています。

 

▼キッズスペースは開放的な空間で、活発な赤ちゃんが動き回っても安心な造り。

ー 全ての方にやさしい設計になっているんですね。2階はどのようなスペースになっているのですか?

山本) 2階は個室会議室になっています。会議はもちろんのこと、講座や打ち合わせなど多目的にご利用いただけます。個室になっているので、より集中して利用したい方におすすめです。

 

ー それぞれのスペースに配慮がなされているんですね。より集中できる環境で作業できるのは、とても魅力的です。

山本) この場所は、全く別の業種だった3店舗をリノベーションして、コワーキングスペースにしたものです。そのため、広々としたスペースを確保できました。

 

ー 3店舗を繋げてリノベーションするという発想に驚きです。これだけの広さがあれば、様々な活動に活用できそうですね。この場から生まれたエピソードがあれば、教えてください。

山本) 地域サロンやワークショップなど、市内の中高生発案のイベント会場として多く利用されています。学生の職場体験を受け入れることも多々ありますね。また、JICA研修生による、高校生とインドの方々との交流企画が行われたことがあります。他にも、東北大学の学生ボランティアグループ「ぽかぽか」さんが訪れ、子ども向けのイベントが開催されたり、県外・海外との関わりも多く生まれています。

 JICA海外協力隊 ホームページ -「JICA海外協力隊グローカルプログラム」
https://www.jica.go.jp/volunteer/glocal_program/

 

ー 今後、海外の方が陸前高田市を訪問するきっかけにもなりそうですね。

山本) 若者やビジネスを行っている世代の他にも、たまご村ならではの高齢者との関わりもあります。ちょうど向かいが訪問型のデイケアサービス施設であり、度々コラボ企画をさせていただいています。高齢者の方々がとても元気で、笑顔をたくさんもらっています。今後も若者との世代間交流の機会を提供できる場でありたいですね。

 

▼こちらはコワーキングスペース。落ち着いた雰囲気で、集中して作業できます。

▼スタッフさんも忙しそうです。

【陸前高田市のこれからについて】

ー 活動を通して感じている、陸前高田市の課題はありますか。

山本) 陸前高田市において、人口の減少は確定しています。そういった現状でも、地方部に居ながら様々な学びや経験を積むことができることを、もっと地元の若者に知って欲しいです。生き方や仕事についての考え方、選択肢を広く持って欲しいと考えています。

 

ー 陸前高田市に位置するこちらが連携拠点に定められましたが、被災地としてどういった役割を担っていくと思いますか。

山本) 地元の方と、様々なきっかけで陸前高田市と繋がった方がこの場所で交流し、連携をすることで新しい取り組みや事業が生まれていくことを期待しています。利用される皆さんがステップアップしていくための拠点になることを目指したい。そういった場が被災地にあることは復興の一助になるものと考えています。

 

ー ヤドカリさんをきっかけに陸前高田市の若者の選択肢が広がり、この場所から『「地域の相棒」のクルー』が輩出されたら素敵ですね。幅広い年代の方に支持される理由も納得です。本日はお忙しいところ、ありがとうございました。

投稿:Co.Nex.Us運営