いわて若者会議2018 いわて若者会議 若者が地域の課題解決を目指して自…
2016.11.16(水)
いわてで活躍するいわての若者や団体を紹介する「いわてびと」めっけ!
※「めっける!めっけだ!」は、岩手県など東北地方の方言で「見つけた!」「発見!」という意味。
今回もコネックさんではなく、岩手県庁の若手職員が若者を取材しました!
花巻市で活躍する茂庭裕之さんをめっけ!
茂庭:父が公務員でして、公という立場で勤め上げたことは尊敬しているのですが、私が就職する時はそれ以外に岩手に貢献する方法はないのかということをずっと考えていました。岩手には30歳までに帰ると決めていたので、地元に貢献できてかつ食べていくことのできるスキルを身につけることが必要だなと。ITはこれからどんな現場でも必要になるし、かつ地方には解決すべき課題がたくさんあるので、それらの両方のやり方が学べるITコンサルティングの会社に入りました。
大学でITを学んで入ったわけではなかったので、最初はもう会話にもついていけなくて。大学、院まで6年間みっちりやってきた人とは入ったときからスキル的には大きな差があったので、少しでも近づけるように、よく働きよく勉強しました。30歳までその会社にいようと思ったのですが、26歳のときに震災があって、自分が身に着けた力で地元に貢献するタイミングとしても今なんじゃないかと考え、また、若いうちのほうがリスクも負いやすくチャレンジもしやすいと考え、帰ってきました。
高校生の頃は、街に元気がなくなっているな、ということを漠然と感じていましたが、帰ってきてみて、地元の課題がよくわかるようになったと思います。首都圏だと人口が多いので課題の解決自体がビジネスにつながることが多いのですが、そのような課題が岩手ではずっと解決されていない。「岩手のものってあんまりオシャレじゃないよね」みたいなことがよく話されますが、例えばパッケージのデザインを頼んで5万円、シールにちょっと良いものを使って5万円、合計10万円ですとなったら、利益が100円の商品を何個売らなきゃならないんだと言う話になります。そうするとデザインにお金をかけられなくてダサいままで売れない、という負のスパイラルになってしまいます。どうしたらうまく売れるんだろうということは日々考えていますけど、まだまだそこに関しては勉強中です。
茂庭:ネットショップを作ったのは、震災の後に応援で岩手のものを買いたいなと思い、色々なサイトを見たときに、例えば商品の大きさや容量がわからないとか、写真が魅力的ではないことが多かったり、買ってみたら想像していたものと違ったりということがありました。そのような経験をした際に商品の魅力や情報、生産者のこだわりを正しく伝えられるような「自分が使いたい」と思うサービスを作りたいと考えて今のサイトを立ち上げました。岩手出身でありながら、お中元なりお歳暮なり贈答をしようとした際に、岩手の品の良さを知らないが故に、県外の品を贈答に用いてしまっていたので、自分が欲しいもの、自分が贈りたい品を見つけられるお店を作りたかったんです。
最近実店舗もオープンしたのですが、それも同じ理由です。例えば、岩手の工芸品を買えるお店って花巻にほとんどないんですよね。小久慈焼さんとか大野木工さんとか、そういう岩手の工芸品を買いたい場合には盛岡や北上に行かねばならないので、直接触れられて、詳しく知ることのできる場所が欲しいと考えていました。
サイトで購入されているお客さんは県内の方も勿論多いのですが、最近は県外の方が多い気がします。 いいものを選んで、しっかり紹介して、「岩手のものは良いものが多いよね」となって他のものも買ってくれるようになったらとても嬉しいです。
茂庭:私は働くのがとても好きです。現実的に、チャンスや仕事の質の面では、東京のほうが面白いことがまだまだ多いと感じています。ただ、やはり自分の住むと決めた場所をよりよくしていきたいという想いと、花巻でも東京と同じように楽しく働ける環境を作ることができないかと考えていました。同じ志を持っている社員を増やして、ビジネスとして地元の課題を解決していき、それでお金をいただくことで、働く上で面白いと感じてもらえる素地をどんどん花巻にも広げていけるのではないかと思っています。
岩手の様々な課題の通底しているところは人口が少ないことで、その大きな原因の一つはその地に魅力的な雇用が少ないことに起因していると思います。その様々な課題の元となっている雇用を改善する為に雇用の場を自分で作れるようになりたいと思い至りました。現に、弊社で勤めている二人は岩手出身ですが、弊社に入るまでは県外で働いていました。その二人が花巻にいてくれるのはやっぱり仕事があるからなんですよね。純粋に花巻の人口も増えるし、やる気のある人は休日に自主的にイベントをやるとか、仕事以外にも地元に貢献する何かをしてくれる。そういうふうに若い人が集まってくるとどんどん良い循環が生まれてくると思うので、特に地方においてはやはり雇用は何よりも重要だと思います。とはいえ、うちもまだ社員数も少なく、待遇も改善するべき点が多々ありますので、本当にまだまだなのですが、そのようなところを目指しています。
弊社では物販と並行して、ITや地元企業のコンサルティングも行っています。弊社のビジョンは、岩手の産業の課題をビジネスで解決して、そのビジネスで雇用を生むことですので、コンサルティングでいただいたお仕事を通じて、地元企業様に貢献すると同時に、岩手の産業の現場や課題に直に触れることで、例えば農業・漁業の現場、商品開発や加工、流通、販売と様々なノウハウを得ることができてきました。その得たノウハウを、また地元へ貢献することで、またお仕事をいただけて、若い人が面白いと思ってもらえる仕事内容の雇用が更に生まれることを目指しています。
茂庭:まだ私が何かを成し遂げたわけではないので、言えることはないのですが、若い世代は一度岩手を離れて外の世界を見ることもよいのではないかと考えています。考え方が違ってるので、県外の方と話すだけで刺激・衝撃をうけることもありますし、すごい才能のある人もたくさんいて、そんな人が本当に努力してチャレンジしている。そんな人達を知っていると自分ももっと頑張らなきゃと思いますし、外から岩手を見る時間があることで、岩手の課題にも気づけると思うので、一度岩手を離れて視野を広げるのは良いと思います。
もう一つはプレイヤーになってほしいということを思っています。首都圏に比べると、岩手では、特に優秀な方がサポーター的な仕事をやっていることが多い。でも結局サポーターばかりではなく、誰かがゴールを決めないと絶対に試合には勝てない。リスクをとってゴールを決める人がいない限り、物事は前に進まないんです。みんながプレイヤーとして「自分がゴールを決めるんだ」という人が増えるともっと楽しくなるんじゃないかと思います。それが失敗したとしても、地域にとっては一つの貴重な学びとして残りますしね。
弊社では、勿論ですがコンサルティングしたら、然るべき対価をいただくというのを徹底しているのですが、岩手では無償やボランティアが良いという風潮が一定あり、しっかりとお金を稼ぐということにあまりいい印象を持っていない方もいる気がしています。ただ、しっかり利益をあげている企業は、地元の経済を回し、雇用を生んでいろいろな人の生活を作り出しているので、地方でこそ「稼ぐ」ということが重要だと考えています。ですので、20代・30代の私達世代から地元に価値を提供し「稼ぐ」ということを意識していく風潮ができると良いなと思います。
スターブリッジいわて(株) http://iwate-starbrand.com/?mode=f3