2016.2.29(月)

タイトル「いわてびと」

〜 特集記事第13回 瀬川然さん 高橋直幸さん 〜

    

「いわてびと」めっけ!のコーナーでは、いわてで活躍するいわての若者や団体を紹介していきます! 「めっけ!」は、岩手県など東北地方の方言で「見つけた!」「発見!」という意味です。

第13回は、人口減少問題の最先端である岩手県和賀郡西和賀町で地域課題の解決に奮闘する団体「西和賀まるごと食ってみでけろ隊」に所属する、瀬川然さん、高橋直幸さんにお話を伺いました。
出来ることは何でもやる体当たり活動で過疎化地域の最先端を走る、瀬川然さんと高橋直幸さんを、めっけ!

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◎瀬川然 1991年岩手県和賀郡西和賀町出身。
◎高橋直幸 1978年岩手県和賀郡西和賀町出身。
◎西和賀まるごと食ってみでけろ隊 瀬川さん、高橋さんが所属する団体。西和賀を盛り上げるべく奮闘中。

特集【第13回】 瀬川然さん 高橋直幸さん
1.瀬川然さん、高橋直幸さんって?

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お二方の自己紹介をお願いします!

瀬川:西和賀まるごと食ってみでけろ隊副隊長の瀬川然です。24歳です。
自分は地元生まれ地元育ちで、同世代がどうしても就職や進学の時期になると「ここにはなにもない」と町外に出ていってしまう事に対してここでも何か出来ないかと思っていました。
いま働いているのは地元西和賀町の第三セクターで、特産品のワラビや大根の加工品を作って売り出している地域振興の会社なんですけれども、そことは別に仕事では出来ないやりたい事を実現できる場として「西和賀まるごと食ってみでけろ隊」を結成しました。町の中や外を巻き込んだ形で活動を進めていきたいと思っています。

高橋:高橋直幸と申します。37歳です。普段は西和賀町の六次産業推進センターというところで働いています。
役場に入ってかれこれ20年近くなりまして、人口減少問題等で「西和賀町が一番先に消滅する」というショッキングな新聞記事が出たりしている状況で、それに負けないで頑張っていこうと、地元の資源、温泉や農産物等を活かしたまちづくりを進めています。

2.瀬川然さん、高橋直幸さんのアクションforいわて

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「西和賀まるごと食ってみでけろ隊」とはどういう団体なんですか?

瀬川:主に町の第三セクターや役場・商工会等で働いていて、普段まちづくりに携わっているメンバーを核に、業務上では出来ない活動の場として結成された団体になります。
最初は「地域を盛り上げる活動を行う」というほどには堅苦しくなく、「地域を元気にしたい」という目的でCM製作やYoutubeでのPR動画作成から活動をスタートしました。
地域を盛り上げたい純粋な心を持ったいわゆる「バカ者」と呼ばれるメンバーが集まっており、その突破力で地域を変えたいなと思いながら活動しています。
メンバーの世代も20代から40代まで、いまでは町の中だけでも20人を超える規模になっていて、個性的な特技を持った面々が多いのが特徴ですね。私は猟銃の免許を持っているので「西和賀のマタギ」というポジションになっています。

高橋:西和賀町の六次産業化の先頭に立って旗振り役として活動しているのが(瀬川さんも所属している)西和賀産業公社です。そういう取り組みをしている方が集まっているので、飲み会等でも次々いろいろなアイディアが次から次へと出てくるんですが、その中でも行政として、会社として出来ることと出来ないことが出てくるんですね。しかしそういったアイディアを埋もれさせてしまうのは勿体無いということで、アイディアを実現できる「考えるより動いてみようぜ」というチームが欲しいね、というところから結成されたのがこの団体です。
最初は5人くらいの組織だったのですが、徐々に人も増え、町外からのファンが来てくれるなど、自分たちも予想しなかった結果に結びついてきており驚いているところです。

地域づくりに必要なのは仲間づくりと現場づくりだと僕は常々思っていまして、一人で全部やりたくても(空回りしてし余った結果)ピエロになってしまうようなことがあると思うんです。そうならないためには目的を実現するために必要な仲間、外に発信するために武器になる現場が必要なんですね。
西和賀って素晴らしいところなんだと自分たちが胸を張って言える空気感を伝えることが出来ればなと思っていますし、それがこの団体に求められているところなんだなと感じながら活動しています。

それでは「食ってみでけろ隊」の普段の活動について、お話いただけますか?

瀬川:主な活動としては町のPRやCM作成等が主軸なのですが、その他にも西和賀の食や自然や人の中から普段あまりスポットが当たっていないものを、我々が光を当ててどんどん出していっています。

具体例としては普段レストランに勤めているメンバーを中心として、貝沢地区にある農家レストランを舞台にした「西和賀の食材を使った少人数限定のプレミアムディナー」の開催や、関係人口・交流人口増加を目的として、使われていない古民家や、町の温泉旅館を利用した2泊3日の体験型合宿を行ったりしています。活動当初は何をするにもこちらから企画を持ちかけていたんですが、最近は逆に様々なところから「うちでもやってくれないか」と言われるようなことが増えてきました。
地域づくりに興味を持って参加して頂いた方からも「こんなに熱くやっているところは他にないよ」「町がひとつになっていてとても良いよ」と仰っていただけて、手応えを感じています。

これは我々の想定を越えた成果になるのですが、合宿への参加をきっかけに交流人口の枠を超えて2回3回と来訪していただき、実際に2015年の8月に西和賀町に移住という形で引っ越して来られ、こちらでパートナーを見つけて結婚された方もいらっしゃいます。今では「地域おこし協力隊」として、一緒にまちづくりに携わってくれています。

その他、情報発信にも力を入れています。勉強会やセミナーへの参加、Facebookでの記事投稿などでファンを獲得し、食ってみでけろ隊の「予備軍」をどんどん増やしていこうとしています。

「食ってみでけろ隊」の皆さんの今後の活動についてお聞かせください。

瀬川:過疎に悩む地域での課題として「やりたいことが出来ない」という理由でこの町を離れていく人が多いんですが、今後は町の中で自分たちがやりたいことがちゃんと出来るんだという空気を作っていきたいなと思っています。その為に色々な可能性を探して、手広く活動を行っていきたいです。町の中だけでなく外からもファンの方から我々の活動を支援して頂いたりすることも増えており、課題として良く挙げられる人口減少や少子高齢化なども怖くはないんだな、と前向きに考えています。

お話を伺って、やはり団体としてのフットワークの軽さに目を見張っています。何か秘訣はありますか?

高橋:いろいろチャレンジしたところで、新しい可能性が見えてくるところってありますよね。そういうものには出来る限り応えたいと思っています。合宿で関わってくれた人が「今度東京でイベントをやらないか」と持ちかけてきてくれたりすることは、チャレンジの成果だと思いますし、こちらも応えないわけにはいかないという感じですよね(笑)。タイミングを逃してしまったら次はなかなか無いわけですから、積極的に乗って行く姿勢です。活動を広げたら広げたで大変なことはあるんですが、基本的にはなんでもチャレンジしていきたいなと走りながら考えています。

ここ何年かは「ふるさとCM大賞」へのエントリーもされていますよね?

高橋:「今年も西和賀さんやってくれますね」なんて言われたり、司会のマギー審司さんにも「ここは説明不要ですね」と言われたりかなり定着してきました。CMを作り始めて今年で3年になりまして、最初の年は熱演賞で、去年は金賞(準グランプリ)だったので、今年は是非グランプリを目指したのですが、惜しくも逃しました。
去年のグランプリの田野畑村さん、その前のグランプリの盛岡市さんでも連続入賞が難しい中で、今年はおもしろ賞(特別賞)を受賞することができ、3年連続の入賞ということで、ありがたいことだと思っています。

瀬川「CMづくりに留まらず、我々の熱量をぶつけるという事を一番の目標としてやっています。ステージでのプレゼンテーションでどれだけ勢いを見せられるかというところで、今回で3年目ですが年々パフォーマンスのレベルも上がっているので、次年度こそは優勝を狙って行きたいですね。

◎ふるさとCM大賞 とは◎
各地のテレビ局などが主催し、各市町村が制作する地元PRのコマーシャルを集めて行われるコンクールのこと。
岩手県では岩手朝日テレビが毎年主催し、各市町村が優勝を目指して出品している。

 

3.瀬川然さん、高橋直幸さんの思う、いわてのミリョクって?

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お二方の思ういわてのミリョクってどういうところでしょう?

瀬川:いわてはなんといっても「広さ」があるので、ひとつの県の中に色々な場所、色々な人がいてジャンルが豊富だなと思っています。山に囲まれていると思えば海にも面している、そういう所にそれぞれの場所に応じた個性的な人がいるというところ。「広さ」がミリョクだと思っています。

高橋:色々な活動をしてきた中で、若かりし頃には外に活躍を求めたこともあったりしまして、県のボランティアの代表をやったり、国の事業の青年の船に参加して世界を回ってきたこともあるんですが、そうした時に自分のアイデンティティとして外に向かって発信して共感してもらえたのが西和賀の、地域のミリョクだったんですね。外からみて「すごい」と思ってもらえる環境が田舎にはありますので、ここを伸ばしていくしか無いと思っています。人口減少は否応なく進んでいくんですが、裏を返せば都会に行ってしまえば埋もれてしまうような人も輝ける、顔が見えて繋がっていけるっていうのは田舎の強みだと思っていますし、地方ならではのミリョクだと思っています。

4.瀬川然さん、高橋直幸さんから若者へのメッセージ!

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お二方から、若者の皆さんへのメッセージをお願いします!

瀬川:地方ってすごく人口減少や少子高齢化などの地域課題が多いと言われていますが、裏を返せばこれから日本や世界が直面していく問題であって、その渦中で暮らしていくっていうのは面白いと思うし、チャレンジしがいがあると思います。そこに向き合うという事はすごく大事なことだと思うし、先駆けの地域だと思うので、頑張りたいと思います。

高橋:進路選択の際に地元に残る、残らないなどいろいろと悩むタイミングというのはあると思います。自分も振り返れば悩みの連続でしたので。しっかり考えた末の結論であれば胸を張っていいと思いますし、出した答えが全てではないですし、どこかのタイミングで地元の良さに気づいた時には戻って来るという選択肢もあるので、まずは本気で悩んで課題と向き合って答えを出していって欲しいと思います。そういった悩みがあれば、我々に相談していただいたりしても、アドバイスできますので。
地方というのはいますごく注目もされていますし面白いところもあるので、そういう世界があるんだということも分かってもらえていれば面白くなるのかなと。地方にメリット・デメリットがあるように、都会には都会のメリット・デメリットがあります。自分で情報をしっかりと集めて、トータルで判断していただければと思います。

ありがとうございました!

田舎の「最先端」を走れ!
瀬川さん、高橋さんの熱いメッセージ受け取っていただけましたでしょうか?
次回もいわてで活躍する方を引き続き取材していきます。 お楽しみに!!


◇西和賀まるごと食ってみでけろ隊 Facebook
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