
成果報告
令和7年度 いわて若者チャレンジ補助事業「ミステリーのたね ひらくまち」では、対話型推理ゲーム「マーダーミステリー」を活用し、地域における安心できる交流の場づくりと、その担い手育成を目的として取り組みを実施しました。単なる娯楽イベントの開催ではなく、「初対面同士でも安心して関われる環境」が成立するかを重要な検証項目として位置づけています。


一人参加100%の対話環境の成立
本事業の参加者はリクエスト開催日を除き全員が一人参加でした。友人同士や既存コミュニティの関係性に依存しない状況でイベントを実施したことにより、純粋に「場の設計」が安全性を担保できているかを確認することができました。その結果、イベント満足度は50名中49名が「良い」と回答し、「残念」の回答は0件でした。なお「どちらでもない」と回答した1名については自由記述において評価理由がシナリオ評価であるとの記載があり、設問の読み違いの可能性が高い内容でした。この結果は、ゲームの面白さのみならず、参加者が安心して対話できる環境が成立していたことを示しています。

初心者参加と継続参加の両立
参加者の約50%がマーダーミステリー経験数が5回未満の初心者でした。専門性の高い趣味イベントでありながら経験者に偏らず、新規参加者が継続的に参加できる環境が形成されています。また、のべ73名の来場者のうちリピートにいたらなかった参加者は3名のみであり、極めて高い再参加率となりました。これはイベントの内容だけでなく、心理的安全性が担保されていることを示唆しています。

年齢層と参加動機
参加者の約8割が20〜30代でした。特に、転勤・帰省・生活環境の変化などにより地域内の人間関係が希薄になりやすい層の参加が多く見られました。実際に、知人のいない状態で参加した転勤者や、育児中の一時帰省者が継続的に参加する事例が確認されており、地域との緩やかな接点として機能していることが分かりました。

担い手の創出
本事業では「遊ぶ側」で終わらない仕組みとして、ゲームマスター(進行役)体験の参加者を募り事業期間で3名が実際にマーダーミステリー会を開催しました。さらに2名からゲームマスター体験の開催希望の申し込みがありました(※事業期間内での開催は間に合いませんでしたが、事業終了後に実施できるよう調整いたします)。これは一過性の娯楽としてではなく、交流の場を生み出す側へ移行する参加者が生まれたことを示しています。

作品評価と対話体験の分離
シナリオ満足度では約8割が「良い」、一定数が「どちらでもない」と回答し、内容の好みが分かれる結果となりました。一方でイベント満足度は「良い」98%と高水準でした。この差異は、本事業の価値が作品評価に依存せず、「役割を持った対話体験」そのものに成立していることを示しています。

地域連携の発生
事業への共感から、地域の事業者による協力が複数発生しました。ゲーム販売店による資材提供支援や、会場提供者による大幅な利用料減額など、地域側からの主体的な協力関係が形成されています。

まとめ
以上の結果から、本事業は単なる交流イベントではなく、初対面同士でも安心して関われる対話構造を地域に実装できる可能性を示しました。また、参加者が担い手へ移行する事例も確認され、継続的に交流を生み出す基盤の萌芽が生まれています。
本取り組みは、孤立を防ぐための“居場所”提供に留まらず、地域内に対話の循環を生む社会的仕組みとして機能し始めていると考えられます。


