2024.8.7(水)

いわて若者カフェ 連携拠点紹介記事「みやっこハウス」

    

【拠点情報】

運営:NPO法人 みやっこベース(宮古市末広町8−24)

営業時間:月〜金 15:00〜19:00 土日祝 10:00〜18:00

定休日:不定休 ※Instagramで開館カレンダーをご確認ください

◎ 宮古駅から徒歩5分ほどのところにある「みやっこハウス」。末広町商店街の中にあり、周囲は賑やかな雰囲気。近くには飲食店や雑貨店が並び、お買い物ついでに思わず覗いてみたくなる、可愛らしい佇まいです。

【お話を聞いたのは】

NPO法人みやっこベース 理事長 早川 輝 さん

福岡県出身。東日本大震災の災害ボランティアを契機として宮古市に移住。任意団体「ユースみやっこベース」を設立後、2015年に法人化。宮古市の若者たちとともにまちづくり活動に励んでいらっしゃいます。

 

 

 

 

【みやっこハウスができるまで】

ー 拠点が作られた経緯について、教えてください。

 

早川さん(以下、早川) 私は福岡県出身で、地元の大学を卒業後、ワーキングホリデーとしてオーストラリアに2年ほど住んでいました。2011年3月1日に帰国し、直後に東日本大震災が発生。災害ボランティアを行うため宮古市に訪れ、そのまま移住し現在に至ります。

 

ー 帰国と東日本大震災のタイミングが重なったんですね。

 

早川) それまで海外にいたので、福岡と宮古の距離はさほど障壁にはなりませんでした。2013年に任意団体「ユースみやっこベース」を設立し、高校生による復興支援活動のサポートに力を入れ始めました。

 

ー 高校生のボランティア活動が活発だったのでしょうか?

 

早川) 大きな被害を目の当たりにした宮古市の子ども達に、「地元の力になりたい」という気持ちが芽生えていたんだと思います。しかし、きっかけがなく、ボランティア活動をする機会がない高校生たちも多くいました。みやっこベースの活動として、宮古の現状や未来について話し合う「高校生サミット」を行い、高校生の活動が活発になっていきました。活動の拠点として、総合福祉センターのボランティア休憩所などを利用していましたが、より多くの高校生が活動に関わるきっかけを作りたいと考えていたところに、地域に高校生の居場所が少ないという声を聞き、これは活動拠点が必要だと。そういった経緯から、2014年に商店街の空き店舗を利用して「みやっこハウス」をオープンしました。

 

ー 活動を行う学生の声から「みやっこハウス」が生まれたのですね。

 

早川) 2015年に法人化し、「NPO法人みやっこベース」は今年で9年目を迎えます。2023年にみやっこハウスのリニューアルを行ったので、さらに幅広い方々に利用していただきたいと考えています。

 

▼たくさんの本が並んでいます。POPつきです。

▼ギターの弾き語りが行われたことも。

【みやっこハウスってどんなところ?】

ー こちらはどんな方が利用しているのですか。

 

早川) 主に、学校帰りの小〜高校生が利用しています。2024年5月には、新たに親子向けにも開放をはじめ、午前中は小さなお子さん連れの方がよくいらっしゃるようになりました。そして学校が終わった時間帯に、子どもたちがいらっしゃいます。時間帯により利用される年齢層が大体決まっていますね。

 

▼取材時(午前)には生後3ヶ月のお子さんを連れた方が訪れ、談話していました。

▼キッズスペースには、クマさんの住むテントやボールプールが設置されていました。床にはジョイントマットが敷いてあり、小さなお子さんも安心して利用できます。

ー フリースペースはどのように利用されていますか。

 

早川) 普段からスタッフが常駐し、利用者同士の交流や、高校生が進めるプロジェクトのアドバイスや手助けを行っています。月に1〜2回ほど、小学生から高校生に向けたイベントを行っています。

 

ー キッズスペースがあると、お子さん連れの方は嬉しいですよね。歩き始める前のお子さんも、親御さんも、ゆったりと過ごすことができそうです。

 

早川) 子育て世代向けイベントも最近スタートしました。「いい時間を過ごせた」といったご感想をいただきます。今後もそういった機会を増やしていきたいですね。

 

ー この拠点から生まれたエピソードを教えてください。

 

早川) これまで、高校生が主体となり、復興や地域活性化のためのプロジェクト積極的に実行しています。商店街のパンフレット作りや高校生カフェの企画・実行、みやっこハウス前の、商店街の夏祭りへの出店などに挑戦してきました。

 

ー「未来のはじまりを、共に創る」というミッションを掲げていらっしゃいます。この言葉に込められた想いを教えてください。

 

早川) 未来の担い手となるであろう子どもたちに、地元にいるうちに成長する機会を作っていけたら良いな、という思いがあります。しかし、「復興」や「地元」という言葉を背負わせてはいけないとも思っています。あくまで、みやっこベースの役割は一人ひとりの人生が豊かになるきっかけを作ること。幸せに暮らす人が増えていけば、地域全体も豊かになっていくものと考えています。

 

▼みやっこハウスを利用した方々が、壁面に絵を描いていきます。賑やかで温かみのあるスペースです。

ー こちらを利用した子育て世代の「自分としていられる」などの声を読み、自分の時にもこのような場所があったら良かったのにと思いました。まさに「痒いところに手が届く」コミュニティの場だと感じました。こういった事業のアイディアは、スタッフさんの経験から生まれたのでしょうか?

 

早川) 子育て世代を対象とした企画は、実際に子育てをしているスタッフが企画しました。出産し、育児が中心となる生活を送る中で、社会との関わりが減ることで自己肯定感が下がってしまうことがあったという経験から発想を得ています。当事者目線の企画を行うことで、寄り添った内容になっていると思います。

 

【宮古市のこれからについて】

ー 活動を通して感じている、宮古市の課題はありますか。

 

早川) 宮古市の課題として感じているのは、若者がつながる機会が少ないということです。車社会なので、職場と自宅を車で往復するだけで日常が終わってしまう。若者が集える場所、新しい何かに出会える場所が必要だと思っています。

また、ライフステージの変化で「仕方なく」「不本意ながら」宮古市に住んでいる人が多いという点も感じています。県外から宮古市を訪れたインターン生に、地元の方が「何もないのに、こんなところに良くきたね」と声をかけることがあります。せっかく宮古市を選んで来ても、モチベーションが下がってしまいかねません。ありのままの地元を肯定し、ポジティブな思いを持って暮らす人が増えればいいなと思っています。

 

ー 若者のつながる場として、みやっこハウスを利用してもらえたら良いですね。

 

早川) 若者同士もそうですが、学校や家以外の「大人と関わることができる場所」でありたいと思っています。学校や家だけでは見えない、社会を知り、主体的な進路選択をして大人になってほしい。そして我々大人たちは、若者のやりたいことが叶えられるきっかけを作る存在でありたいですね。

 

ー 若者と若者、若者と大人、それぞれの横の繋がりがこの場所から生まれていくと思うと、みやっこハウスが皆の思い出の詰まった場所になりそうですね。

 

早川) 宮古駅が近いこともあり、帰省時には自宅に帰るよりも先に、みやっこハウスに立ち寄ってくれる方もいます。地元から離れた後も様々な形で関わってくれたりと、宮古を離れても、いつまでも想ってくれているという継続した繋がりを感じられることは、この場所を立ち上げた上でとても大きなことだと感じています。

 

ー これからさらにみやっこハウス出身の若者が活躍していくと思うと、とてもワクワクしますね。子育て世代に寄り添った企画についても、もっとたくさんの方に知っていただき、活用してほしいと思いました。今後とも応援しています。本日はありがとうございました。

投稿:Co.Nex.Us運営