ライター T.Saito
何か新しいことをはじめている人、何かを発信している人。そういった人の多くは、何かしら自分なりの「哲学」を持っているように思えます。「自分が大切にしたい哲学」を考え、見つけることは新しいことを始めるときの手がかりになるのではないでしょうか「いわてつがく」は、そんな思いのもと、さまざまなフィールドで活躍する人たちの「哲学」を紐解いていく連載です。
司東 実優 (しとう みゆ)
大学 アメリカ ミズーリバレー大学3年生 心理学専攻
所属 ダンスカンパニー3年目、ステージダンス
(モダン、コンテンポラリー、創作、舞台)
ダンス部2年目、チアダンス(ジャズ、ポンポン、hiphop)
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プロフィール:北上市出身。3歳からバレーを始め文武両道の精神を大事にし、将来の夢を叶えるため単身アメリカの大学へ留学。ダンス部の創設メンバーでありながら、全米大学体育協会が発表するチアダンス部門で全米で85名しか選ばれない「オールアメリカン」に選出。日本人では司東さんただ一人。※「オールアメリカン」=トップアスリートの称号。
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ーなぜアメリカの大学へ?
黒沢尻北高校の2年生のとき大学を決めないといけませんでしたがその当時、私にはなりたい職業や行きたい大学がありませんでした。やりたい職業を決めないと専攻が絞れず、大学が選べない。そのように考え、思ったのは英語を使って外国人と仕事をしたいということでした。英語を日本で勉強して何になるのか?という疑問をもったことから、最初からアメリカに行けば、本場の英語を身に着けられると思いました。また、アメリカであれば多様性の文化があり、自分の興味がある様々な分野を学べて、たくさんの経験ができると思い渡米を決めました。
岩手に帰郷している司東さん。自宅で驚異のバランス力を見せてくれました。
ー海外の大学、入学までの道のり
海外の大学へ行く目標ができたので、そこから様々調べていくうちに、あるエージェンシーをネットで見つけました。エッセイ、成績書、クラスランクレター、推薦証、提出書類を代わりに送ってくれて、それを見て海外の大学からオファーが来る仕組です。結果、私には海外の大学から36件のオファーが来ました。そして、オファーの中からミズーリバレー大学を選びました。また、アメリカの大学は英語が理解できないといけないのでTOEFLの成績をあげることを高校卒業から大学入学まで集中して行い、仙台まで何度も試験を受けに行きました。TOEFLはリーディング、スピーキング、リスニング、ライティングをすべてテストするので、とても難しく苦戦しました。
全米大学協会 トップアスリート(2020年)「オールアメリカン」85人に日本人で唯一選出
司東さんが作成した「オールアメリカン」説明資料一部。
ー司東さんが思う全米85人に選ばれた理由
私は性格的に完璧主義者なので、自分でやると決めたことに関して、100%で挑みたいという気持ちが強く、本気で極めたいと思ったからです。
勉強でもバレエでも、ダンスでも新しい技をできるようにしたいですし、私は、留学で海外の大学へ通わせてもらっているので、両親への恩返しとして、自分ができることは100%でやりたいという気持ちを忘れず、いつも取り組んでいるからだと思います。
ミズーリバレー大学でHomecoming Princess(ミスコン)1位になった司東さん。
ー学生のうちに海外にいくメリット。
それまでにあった自分の常識や考え方、習慣、文化など異なる国の人々と知り合うことで、とても視野が広がりました。しかし、アメリカの内情は貧困差が激しく、一方で日本は裕福な国ということが住んでみてわかりました。当たり前のことが当たり前ではない生活が多くありますし、日本に比べるとアメリカは治安が悪く、様々な現実に直面します。そして私自身、アメリカに行き食事のとり方が変わりました。日本にいるときは食事制限していましたが、今は、明日何があるかわからないから食べたいものを食べようと思うようにもなりました。
ーダンスをやってきて苦労した事。文武両道。
自分は完璧主義者でプライドが高くオールAでないと気が済まないです。GPA4.0 90点以上。
最初は英語ができなかったので、教授にボイスレコーダーで録音してよいか許可をもらって、授業が終わってから何度もわかるまで聞いていました。授業中は英語がわからないので、ノートも取れない状況だったのですが、繰り返し行うことでなんとかノートがとれるまでにはなりましたが、それでも、わからないところは個別に先生のところへ行き、コミュニケーションをとれるようにしました。周りの人とは、それまで学んできたことが違うので、授業の中での例として出される話題などわからないところが多々あり苦戦しました。
司東さんがアメリカで実践的に英語を習得した方法。
ーアメリカの大学生活について。
率直にアメリカの大学に行ってよかったと思います。しかし、多くの人が思っているより、アメリカは素晴らしい国ではありません。人種差別や貧困などについて課題は多いです。でも、やはりアメリカの人や文化が好きです。アメリカはみんなで向上していこうという風土やお互いを褒める文化が多くあり、向上心がある人たちと一緒にいれるので自分には刺激になっていて、とても頑張れます。
日本では、「出る杭は打たれる」ということわざがありますが、アメリカでは真逆で目立っていると、「あなたみたいになりたい」、「いつもいい刺激貰っているよ」と褒める習慣があり、ポジティブな私にはアメリカの文化が合っています。
大学でのチアダンスの光景。真中で踊っているのが司東さん。
ー司東さんが考える、ダンスの魅力。
言葉がなくても伝わる表現だと思います。自分は表現者なので、人前でいつも楽しく踊るのが、私のダンスを見た人にも伝わると言われます。ダンスを通じてたくさんの人に夢やエナジーを与えたいです。
ダンスカンパニーでダンスを披露している様子。
ー将来について。
今、大学で学んでいる専攻の心理学と副専攻のダンスで卒業後、産業組織心理学を学ぶため大学院へ。就職は産業心理学者として、企業の環境改善を行い売り上げを伸ばせるような心理学者として、アドバイスを行っていきたいです。その後、自分のダンススタジオを海外で開き、両立してやっていきたいです。
これから新しいことにチャレンジする若者へ
やりたいことや挑戦など、好きなことを極めてください。
ネガティブな周りの意見に流されず、自分を信じて目標に進んでください。
素敵な自宅の庭で撮影。