【拠点情報】
運営:合同会社ハルノ企画(一関市大町4-11)
営業時間:24時間営業(お問い合わせ受付時間:平日10時〜18時)
◎ 一関駅から徒歩5分。一関市の街中、アクセス抜群の場所に位置する「シェアオフィスハルノバ」。喫茶店「フレンド」のレトロな食品サンプルに目を奪われつつ、階段のふもとに見えるのは、ターコイズブルーで縁取られたガラス張りのドア。大きな「ハルノバ」のロゴが目立ちます。中を少し伺うと、暖色系の照明の下に並ぶオフィス。DIYで仕上げたという内装は温かみを感じます。
【お話を聞いたのは】
一関市出身。宮城県庁を経験後、一関市の地域おこし協力隊としてUターンされました。その後「あぜみちデザイン」の屋号で企画業を個人で行い、2022年に「合同会社ハルノ企画」として法人化。誰かの「やってみたい」という思いをサポートし、企画や移住支援、起業支援でローカルプレイヤーを増やす活動を行っています。
【ハルノバができるまで】
ー 拠点が作られた経緯について、教えてください。
櫻井さん(以下、櫻井) 私は一関市の出身で、宮城県の大学を卒業しました。地元に帰省する度、一関がどんどん寂しい印象になっていくような気がしていて、一関市の地域おこし企画ワークショップに参加し、改めて一関に関わりたいと思うようになりました。
ー 大学卒業後は、宮城県庁へ入庁されているんですよね。
櫻井) 就職が決まっていたので、宮城県庁に入りました。しかし、誰のために、何のために仕事をしているのか、といった疑問を抱えることが多くなったんです。そんな時、たまたま一関市の地域おこし協力隊募集のお知らせを発見し、挑戦することにしました。県庁を離れることに対し否定的な意見も多かったのですが、思い切って飛び込みました。
ー 大きな挑戦でしたね。決断するのも勇気が必要だったと思いますが、地域おこし協力隊に着任してみて、いかがでしたか?
櫻井) 地域おこし協力隊のミッションも、自分の専門ではありませんでしたが、やれることをやろう、という思いでイベント企画や制作などを行いました。協力隊の他にも「TAKUMARU」という任意団体を立ち上げ、定期的に集まりイベントを企画する活動も行っていました。
ー 数々の逆風を追い風に変えたのですね。
櫻井) 地域おこし協力隊の任期を終えたあと、企画・制作業で独立しました。たくさんの方々にお世話になり、仕事をカタチにしてきましたが、その中で感じたのは、地方での起業やチャレンジを応援してくれる場が必要だということです。そういった思いから、ハルノバが生まれました。
▼自分たちでDIYをしたオフィス。ブルーとガラスのクリア感が爽やか。
▼個人用デスクも、共用デスクもあり。各々が自分のペースで作業しています。
【ハルノバってどんなところ?】
ー こちらはどんな方が利用しているのですか。
櫻井) 最初はフリーランスや開業直後の人が多くいらっしゃるかと思っていましたが、実際には経営者の方や企業の方が多く利用されていますね。その他、イベントの相談や交流の目的で利用される方も多いです。
ー こちらはイベント会場としても利用されることがあるんでしょうか。
櫻井) はい、イベントはよくやっています。最近だと、突発的に陶芸のイベントが開催されました。前もって企画されていた訳ではなく、「やりたい!」という話が出て、その場で始まった感じですね。パソコンで作業している方もその場にいるので、陶芸をする人とパソコン作業をする人が同居しているという、ちょっと変わった光景がみられました。
ー 突発的にイベントが開催されるというのはすごいですね。
櫻井) 企画を練って行われるイベントももちろんあるのですが、この陶芸のように突発的に行われる催しも多いです。居場所としての安心感があるから、「やってみたい」という思いが生まれると思っているので、そういった思いは大切にしていきたいです。
ー こちらは24時間オープンしているんですよね。時間を気にせず作業できるので、ちょっとしたスキマ時間に利用できるのは嬉しいです。
櫻井) そうですね。夜間など無人の時間帯でも利用できるようになっています。
ー この場から生まれたエピソードがあったら教えてください。
櫻井) ハルノバを会場に、異業種交流会や地域おこし協力隊の交流会などが行われています。地域の人同士の繋がりや、移住者の繋がりなど、この場を通じて「繋がり」が生まれ、地域内での新しいチャレンジや、1歩踏み出すきっかけになったりしています。
▼ハルノバ1周年記念イベントには、地域内の若手プレイヤーの方が集いました。
▼オフィスを利用していた方から、いい笑顔とポーズ、いただきました。
【一関市のこれからについて】
ー 活動を通して感じている、一関市の課題はありますか。
櫻井) 1つ目は、地域のプレイヤーがまだまだ少ないことです。地域課題に自分ごととして取り組める人がもっと増えてほしいと思っています。2つ目は、行政と民間の連携が弱いという点です。他の地域には、例えば紫波町のオガールのような、行政と民間がお互いに協力していくための拠点があるのに対し、一関市にはそういったプロジェクトが少ないです。働きかければ応えてくれる関係でありますが、まだまだ共同でやっていこうという意識が少ないと感じています。
ー ハルノバを運営するハルノ企画は、「誰かのやってみたい」をサポートする会社だと伺っています。
櫻井) 地域で何かを始める時に、様々なしがらみがあるかもしれません。でも、できないことより、できることを探す方が良いのではないか。せっかく誰かが新しい何かを始めようとしているのだから、応援したいですよね。そして、そんな地域だったら、人が集まってくると思うんです。
ー 実際にハルノバを利用している方々の表情をみて、「居場所としての安心感」を肌で感じました。私も、恐れずに「やってみたい」の第一歩を踏み出してみようと思いました。本日はお忙しいところ、ありがとうございました。