何か新しいことをはじめている人、何かを発信している人。そういった人の多くは、何かしら自分なりの「哲学」を持っているように思えます。「自分が大切にしたい哲学」を考え、見つけることは新しいことを始めるときの手がかりになるのではないでしょうか。「いわてつがく」は、そんな思いのもと、さまざまなフィールドで活躍する人たちの「哲学」を紐解いていく連載です。
小松野 麻実 Asami Komatsuno
株式会社かまいしDMC 地域創生事業部 根浜・箱崎白浜運営課
防災士
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プロフィール:釜石市出身。桜美林大学リベラルアーツ学群卒。学生時代に防災士の資格取得や、釜石での地域活動に取り組み、大学卒業後、株式会社かまいしDMCに就職。にぎわい創出の拠点として「魚のまち釡石」を発信する施設「魚河岸テラス」や、海と山の自然を満喫できるオートキャンプ場「根浜シーサイド」に勤務。SUP・カヤックのインストラクターとしても活動している。
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ー現在のお仕事について教えてください。
現在、かまいしDMCに所属し、根浜シーサイド・オートキャンプ場の運営を担当しています。
このキャンプ場は、2019年ラグビーワールドカップで話題になった鵜住居スタジアムからも近く、三陸の海を楽しめる自然豊かな場所です。
山や海が隣接しており、SUPやシーカヤックなどのアクティビティを楽しむことができ、海開きの時期には大盛況の施設となっています。
SUP中に釣りをされている小松野さん
ー学生時代の小松野さんは?
私が中学生の頃、東日本大震災津波を経験し、同級生や近所の方が避難してくる姿を目の当たりにし、「何かしなければ」と思い、ボランティアに参加しました。
そして高校生の時に、本当は釜石に残りたい気持ちが強かったですが、「今の私に何ができるのか」という不安な気持ちも大きく、色々迷いましたが首都圏の大学に進学することを決めました。
大学生活では都内に住んでいましたが、復興支援で繋がった人たちと一緒に「釜石の復興に関わりたい」と思い、NPOでのインターンに参加して釜石での地域活動を継続してきました。
私にとっては、釜石が常に頭から離れない「岩手づくしの大学4年間」でした。
地元のお祭り「釜石よいさ」の写真
ーUターンして地元で働くことを決めたきっかけとは?
大学3年生の時、私は「三陸ひとつなぎ自然学校」でのインターンシップを経験し、釜石の観光に関する「Meetup Kamaishi:ミートアップ釜石」に参加しました。
この「ミートアップ釜石」は、釜石で体験できる21のプログラム(稲刈りや漁業体験、製鉄所の工場見学、酒蔵見学等を「釜石のひと=鉄人」が案内するもの)を期間限定で開催し、釜石の魅力・仕事を知ってもらうという取組です。
進学後も継続して地域活動に携わっていく中で、改めて自分の居場所が地元にあることに気づき「大好きな釜石に帰りたい」という想いが強くなりました。
そこで、大学卒業後は釜石に戻ることを決め、現在の会社に入社しました。
「Meetup Kamaishi:ミートアップ釜石」に参加した時の様子
ー当時、かまいしDMCに入社した時の心境は?
株式会社かまいしDMCは、地域の観光資源と地域産品の魅力を最大限引き出し、地域経済を活性化し、そして住民の誇りを醸成することをミッションとしている、観光地域づくり法人です。
入社1年目は、魚河岸テラスに配属されました。震災で流された施設が新しくなって、自分自身も新生活をスタートするという気持ちでした。
施設の運営としては、沢山の観光客に来ていただくのが理想ですが、やっぱり、地元の人に長く愛されるような施設にする事を意識していました。
釜石の海での海開きイベントの様子
ー地域活動の中、何か発見したことや感じたことは?
一緒に地域活動をしている方々は、インターンの頃からの知り合いや、釜石に移住してくださった方など様々です。
特に震災以降、釜石に移住してくださった方々が、地元でもない地域のために、沢山アイデアを出し、熱意を持って参加してくれることに感動しました。
ちなみに、かまいしDMCの社員は、半数が他地域から移住してきた方々です。こんなにも釜石の事が好きな人達が増えたのは、釜石が「未来に向けた復興」を目指し、震災後からずっと前向きに努力してきた結果だと思います。
根浜シーサイド・オートキャンプ場の写真
ー最後に、何か新しいことへ挑戦しようとしている岩手の若者へメッセージをお願いします
私が伝えたいメッセージは「やらないと後悔するよりも、やって後悔する方が良い」ということです。
インターンシップ中、周りの先輩方から「とりあえずやってみよう」というアドバイスをいただき、それからは、行動しながら考えるように心掛けています。
私の場合は「とりあえずやってみよう」という言葉に出会い、都内から地元のイベントに参加していたことで、自分の可能性が広がってきました。
自分の中では、将来への不安や葛藤もありましたが、地元に戻りたいという気持ちに素直に答え、行動したことで今の自分がいるのだと思います。